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2016年11月11日 卓話 伊坂 泰治 会員

「太陽光発電システム、メンテナンスの業界動向」
一般社団法人 日本太陽光メンテナンス協会 事務局長  後藤 正春 様

1.はじめに
太陽光発電が、掛け替えのないエネルギ-として100年の先へも繋がるよう、良質な維持管理・メンテナンスで発電所を支え、安定した基幹電力産業たる太陽光発電業界の発展に寄与する。この目的をもって、(一社)日本太陽光メンテナンス協会は、平成26年1月31日設立致しました。現在、会員は31社、太陽光発電の高い技術力と豊富な経験を持つ会社で構成されています。

2. 太陽光発電の大きな飛躍
2012年7月「固定価格買取制度(FIT)」の施行に伴い、10KW以上の産業用の大量導入が始まり、2016年度末迄の推定累計では、制度開始前の約10倍に相当、57GW(57,000MW)の普及が見込まれています。設置形態は屋根上から遊休地・跡地等の地上設置が大幅に増加しました。この間、従来のメーカー、販売・施工業者に加え、海外メーカー、大手建設・土木、設計コンサル、不動産、金融、等が新たに参入、業界は大きく膨張し、市場規模は一兆円を突破しました。

3.国のエネルギ-政策目標・エネルギ-ミックス
2015年7月、国は第4次エネルギ-計画で2030年の電源構成を下記エネルギ-ミックスで発表。 火力(石炭、LNG、石油 )56%、原子力 22~20%、再エネ 22~24%で、太陽光は再エネの7%とした。

4. 固定価格買取制度(FIT)の見直し
2016年5月25日、改正FIT法が成立、国は「太陽光発電の導入拡大に向けた施策の方向性について」の中で、法改正のポイントと具体的な施策を提示。太陽光発電が、急速に拡大する一方、①賦課金による国民負担の急増②不十分な設計施工・メンテナンスによる事故・被害の発生③立地地域とのトラブル等が課題となっている事もあり、法改正では、新たな価格決定方式、新認定制度の導入、また総合施策として、低コスト化、長期安定発電の体制構築、ポストFITに向けた太陽光発電の導入(ZEH・ VPP)を挙げている。

5.太陽光発電設備の不具合事例
大量導入に伴い、不具合事例も比例して増加、発電量低下や、近隣への問題も生じている。原因として、1.不適切な施工・メンテナンス(配線・塗装・締め付け不良、架台強度不足、造成不良、影・反射等)2.設備故障(PCS停止、パネル瑕疵・劣化による発電量低下、絶縁不良)3.自然災害、盗難(台風・積雪・突風・雷・雑草、鳥害・小動物・虫、ケーブル盗難等)がある。

6.太陽光発電システムの長期安定稼働に向けて
改正FIT法では「長期安定発電の体制構築」が謳われ、メンテナンスの実施が義務化され、違反した場合は改善命令、場合により認定の取り消しとなる。改正法の施行は来年4月1日である。保守・点検の義務化に向け国は2点の施策を実施する。①民間主体の保守・点検のガイドライン整備、また国としては太陽光発電の事業計画策定の参考となるガイドラインを策定する。②地域のサポ-ト体制の構築・地域のメンテナンス事業者のデータベ-ス化・協議会組成・設計施工、メンテナンスの研修・地域トラブル等に関するアドバイザ-派遣等になっている。

7.保守・点検ガイドラインの整備
今年7月13日経産省で関係者を集め第1回の連絡会議を開催。国主導であるが、太陽光発電協会(JPEA)と日本電機工業会(JEMA)が共同事務局となり12月末までに纏める。要件は、直流1500 V以下の太陽光発電システムが対象、10KW以下と10KW超に分け上限は規定せず、電気的・機械的要求すべてを包含、国際規格とも整合させ、いずれJIS化を視野にした内容とする。

8.太陽光発電、100年の先までも
大量導入された40万件以上の発電所の長期安定稼働、5年から10年をかけて安定したビジネスの基礎固めを行い、安定電源として100年の電力産業ならんとするPV100年構想。電力の小売り事業が自由化され、2020年には発送電が分離される新たな転換点を迎え、業界はさらに大きく発展しなくてはなりません。メンテナンス協会会員は、これまで多くの発電所を創ってきましたが、大量の発電所の見守りも視野に入れ、かつさらに強固な太陽光発電ビジネス造りを使命として、そしてかって世界一と称された日本の太陽光発電事業の、新たな世界一を取り戻すべく、大きな志と情熱をもって、今後も新たな事業に取り組んで参りたいと考えております。
     

# by osakajotorc | 2017-09-14 16:55 | 卓話