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2016年2月12日 大道 一弘会員

「建築家から見た勘違い」

2011年3月11日、日本は大きく傷つきました。津波災害地は、悲劇を繰り返すまいと、より安全な街づくりをしようと、数十年か、数百年ごとに起きる津波を、想定した災害復興をしようとしています。そして今では、地方負担ゼロで国費が注ぎ込まれ、二重投資や、過大投資のインフラ整備が立ち止まることなく、進んでいます。効率性は重要です。東日本大震災の惨状を見れば、誰でも被災者を助けたいと思います。しかし、どうしたら効果的なのか、視点のない復興工事は、非効率的で、未来の見えない移転計画は、税金の無駄づかいになるだけでなく、被害者の助けにもならないと思います。地震、津波などの、自然の圧倒的な力に対して、我々は、無謀にも力で抵抗しようとしています。我々は、もう少し自然破壊をせずに、自然の力を受け入れたうえでの安全対策を講じなければならないと思います。政府の復興構想会議で言われている、住宅の高台移転計画は、基本的にはいいと思います。しかし、今、陸前高田市で行われている、宅地造成工事に必要だと、巨大なベルトコンベヤーを作り、その延長が14.5キロメートルもあります。そしてその費用は、120億円もします。そしてこれで高さ120メートルの山を、40メートルまで削り取ります。その土量は、450万立方メートルにもなります。そしてその土で作る盛り土の高さは、12メートルにもなります。そのうえ造成工事が終われば巨大なベルトコンベヤーを撤去します。そして造成工事だけで一住宅あたり1億円もかかります。しかも、その上に建物を建てると、地震の時には液状化のリスクも高なります。また、そこで家を建てる人には支持地盤まで杭を打ち込むことになり、その分、建築費用もかかります。造成工事が完成するのは、平成30年になり、それは小学一年生が中学校を卒業する年月に相当します。それから家を建てることになります。もうその時は家庭環境が変わっています。石巻市では、津波で壊滅した町中心部に130億円をかけて高さ9.7メートル、延長3.5キロメートルの防波堤を築く計画が進んでいます。そうなれば、きれいな海岸が見える景色が無くなってしまいます。津波をかぶった町は、災害危険区域に指定され、もう人は住めない。高台移転希望者は2011年 10月には350世帯だったのが2014年には190世帯に激減、その他の地区でも3分の2の人口流出は続いています。県は2018年、春に防波堤を完成しようとしています 。限界集落化する高台の宅地。住む人なき浜を守る防波堤。これが「復興の現実」。岩手県、宮城県、福島県、3県で整備される防波堤の長さは合計で400キロ。うち高さ10メートル以上の区間は50キロメートルに及びます。そして、防波堤の総工事費だけで、約1兆円と言われています。今、日本は、東北の後を追うように限界集落が増えています。これからは国、自治体、個人の合意形成のあり方を議論すべきだと思います。そして我々ロータリーの場合、ロータリー財団を通じて、持続可能なプロジェクトに力を入れています。そしてこの持続可能という条件を満たさなければ、補助金を出さない、というようになっています。我が国もそのような持続可能な地域作りが必要だと思います。それから、この後にお話しした木の話は、2015年2月号の「ロータリーの友」の、秋田県立大学・林 知行先生のスピーチを参考にしていますので詳しくはそちらを読んで下さい。

by osakajotorc | 2016-03-15 15:53 | 卓話

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